宇佐美氏は前川前次官(写真)の発言に疑問を呈する

写真拡大

いわゆる「加計学園」問題をめぐり、野党を中心に「国家戦略特区」不要論が浮上している。政治主導による約50年ぶりの獣医学部新設が「総理のご意向」で「ゆがめられた」ためだという。急先鋒(せんぽう)の民進党は今週にも、特区廃止法案を参院に提出する方針だが、本当に特区制度は不要なのか。経済産業省の元官僚で、コンサルタントとして活躍する宇佐美典也(のりや)氏に聞いた。

「国家戦略特区は、官僚機構に変革する圧力をかけるのが目的であり、政治家が既得権益を握る官僚と戦うための武器だ。そこで官僚の言うことを100%聞いていたら、特区制度の意味がない。これを潰して、どう改革を進めるのか、逆に問いたい」

宇佐美氏は、こう語った。東大卒業後、経産省に入省して企業立地促進政策などを担当し、2012年に退職した。

国家戦略特区は13年12月、産業の国際競争力の強化や、地方創生の観点から制度整備された。現在までに「株式会社による農業参入」「混合医療」など242の事業が認定されている。

官僚の既得権益に切り込む制度のため、官僚たちの反発は強い。だからこそ、政治が前面に立ち、「岩盤規制にドリルで穴を空ける」(安倍晋三首相)覚悟で臨む必要があるのだ。

宇佐美氏も「条件を設けることが『規制』であり、条件を緩めるのが規制緩和であり、改革だ。行政機構はどうしても硬直化するため、特区という枠組みが必要になる。『岩盤規制』に穴を空け、規制緩和を進めなければ、日本の産業競争力は高まらない」と強調した。

一方、朝日新聞などが報じた「文書」や、文部科学省前川喜平事務次官の発言を“錦の御旗”として、国家戦略特区制度の廃止を求める動きがある。蓮舫代表率いる民進党は近く、特区の適用を停止し、政府に施行後2年以内に特区廃止を含めて検討するよう義務づける「特区廃止法案」を提出する構えだ。

この動きについて、宇佐美氏は「行きつくところまで行きついた、という印象だ。むちゃくちゃな法案だ。『反安倍』であれば、何でもいいのか」とあきれ、続けた。

民進党が今の特区のあり方が『公平でない』と主張するならば、公平性が担保できる国家戦略特区案を出すべきだ。険しい顔をして『反対、反対』と叫び、支持を訴える時代はもう終わった」

前川氏の言動を元官僚として、どう思うか。

「今回の獣医学部新設は、正しい手続きに基づいて行われた。違法性はない。これに対し、前川氏は文科省の違法な天下り斡旋(あっせん)システムを構築した張本人だ。前川氏は『行政がねじ曲げられた』と主張しているが、『行政をねじ曲げた、お前が言うな!』と言いたい。メディアをけしかけて、自分のキャリアを正当化したいだけではないのか。『俺は正しかった』という自己顕示欲でやっているとしか思えない」