日本よ、侍国家たれ。

日本は「サムライ国家」としての意気を示し、いわれなき批判を仕掛けてくる不届き国家に対し、断固反論しなければならない。

●金正恩は中国の意向(何も約束するな)を実践した

宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)6月13日(水曜日)   通巻第5724号 


米朝首脳会談を過大な期待で予測したメディアは何を間違えたのか
会談は始まりにすぎず、金正恩は中国の意向(何も約束するな)を実践した


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日本の期待は夢幻に終わったのか。
 

発表された米朝首脳会談の共同声明を「素晴らしい」とトランプは自画自賛したが、多くの人々から見れば、具体的内容を欠いているため、「失望」だろう。

第一に「非核化への努力」は謳われたが、「完全な、検証可能な、不可逆的な」という文言は共同声明のどこにもないではないか。
 

期限も方法も明記されていない。要するに具体的には何も成果はなかったのだから。安倍首相が「高く評価する」などと、トランプの成果を渋々評価したのも、納得するには無理がある。

 米国政府筋は「これから高官による詰めが行われて、具体的な日程などがでてくる。ともかく歴史的文脈に於いて、この会談は意議がある」と総括して、今後の交渉に大きく期待する方向にある。

 

とはいえ、「完全な、検証可能な、不可逆的な非核化」は結局、並ばず、「非核化」の現地を金正恩から得ただけだった。

中国の後ろ盾を得た金正恩は強気になっていた。アメリカとの世紀のショーを演出するために、人質を解放し、使い物にならなくなった核実験場を廃棄処分としたが、これをトランプは記者会見で「成果」と総括した。ディールの名人も、ここまでか、との感想を抱いた読者が大いに違いない。

 

「総合的に前進した」という米朝首脳会談は、アメリカにとっては中間選挙向け、北にとってはやっぱり時間稼ぎと中国との関連。唯一の歯止めが、米国は「制裁を続ける」という姿勢だけだろう。

大きく期待した人は失望の谷は深い。期待しなかった人にとっては、なんとか、一歩前進したというのが率直な感想ではないか。

 

「歴史的に米朝が『初の会談』という意議いがいにないもない」(NYタイムズ)
 「希望を抱かせたが、保証がない」(ワシントンポスト
 「希望に向けての前進」(ウォールストリートジャーナル)


 ▲「人権」「拉致」の文言は声明には盛り込まれていない

 米国メディアは消極的だが、否定はしていない。しかしトランプは記者会見で「人権に言及した」「日本の拉致問題についてはちゃんと伝えた」と言い訳に終始し、いつものような強気が見られなかったように、そのうえ、米軍撤退を示唆したように、これでは過去の歴代大統領の、その場の人気取り対応と大きな違いはない。

 

けっきょく、この米朝首脳会談で一番の勝者は、中国である。
 

おそらく中国は、前進があったとして『制裁』緩和の方向へ舵を取るだろう。『中国抜きには何も進まない』と国際社会に印象づけることに成功し、金正恩の背後でシナリオを描き、トランプに米軍撤退の発言を誘発させた。 

 

同じ日に上野動物園のパンダが誕生一周年とかで、長い長い行列ができた。パンダはチベットの動物であり、中国が外交の道具としているものだ。
これを行列してみるという、あきれ果てた日本人がいるように、精神的劣化がますます進んでいる。