日本よ、侍国家たれ。

日本は「サムライ国家」としての意気を示し、いわれなき批判を仕掛けてくる不届き国家に対し、断固反論しなければならない。

●追い詰められた韓国・文政権に対し日本がとるべき態度

● 厳しい状況に追い込まれる 韓国の文在寅大統領

韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領が、経済改革の失敗などからかなり厳しい状況に追い込まれている。昨年12月下旬に実施された世論調査では、2017年5月に政権が誕生して以降初めて、政権への不支持率が支持率を上回った。

文氏は、「一部の財閥企業と政治家に牛耳られてきた韓国の経済や社会を変革する」と大胆な改革をうたって、特に若い世代からの不支持を集めたものの、実際の改革は遅々として進んでいない。国民の間に失望感が出るのは当然だろう。また、雇用環境が悪化する中で大卒者の就職率は低下しており、若年層からの不満は一段と高まりやすい状況だ。

一方、海外に目を向けると、支持率回復の頼みの綱である北朝鮮金正恩朝鮮労働党委員長の訪韓が実現できていない。文大統領は国内の不満を海外に向けて支持率を回復するために、わが国に対する態度を一段と硬化させている。日本には何をしても許されるという一方的な認識はかなり強いようだ。

一方的に難癖をつけ、駄々をこねる子どものような振る舞いを続ける韓国に対し、わが国は相手にしないのが一番だ。ただ、朝鮮半島における地政学リスクなどを考えると、そうもできないのが実情だ。政府は、日本の主張の正当性を国際世論に分かりやすく伝える必要がある。その中で政府は、アジア新興国などとの関係を強化して、日本は発言力の向上などを目指すことを考えるべきだ。

● 韓国国内で 高まる文政権批判

韓国の政治と世論を見ていると、目の前の不満や問題を近視眼的に避けようとする人々の心理がかなり強いことに気が付く。韓国では、政治家が公約を達成できなかった場合、そのリーダーに対する批判が一挙に噴出することが多い。

そのため、韓国のこれまでの政権は、有権者からの批判を避け支持を得るために、過去の政治批判や経済的なメリットの“ばらまき”を行ってきた。それでも政治・経済の運営が思うように進まない場合、韓国は国内の不満を海外に向けさせるため対日批判を強めることが多かった。

文政権の政策運営はまさにそうした流れを踏襲している。2017年5月の政権発足時、文政権への支持率は80%を超えた。その背景には2つの要因があった。1つは、政治と一部有力財閥との癒着を断ち切る“改革”を宣言したことだ。そしてもう1つは、韓国の景気が緩やかな持ち直し基調だったことだ。

“革新派”を自認する文氏に対して、「この人なら韓国を変えてくれる」と期待を高める人々が増えた。文氏もこの期待に応えるべく、国内においては財閥依存型の経済構造の改革、最低賃金引き上げを主張した。その一方、外交面では前政権と対照的に北朝鮮との融和策を前面に打ち出した。

しかし、一朝一夕に経済の改革は実現できない。

特に、韓国経済では財閥企業の業績動向がGDP成長率を大きく左右する。過去の政権が財閥優遇策を進めてきたことを理由に財閥企業の解体などを念頭に置いた文政権の政策は、韓国の潜在成長率を低下させる可能性が高いとすら考えられた。成長基盤の強化策が定まらない中で、文大統領は最低賃金の引き上げなどを重視した。それは、改革ではなく、目先の支持対策に過ぎない。

企業に過度な負担を強いる文政権の経済運営に、企業経営者がついていけなくなったのは当然である。それが最低賃金引き上げ目標の撤回につながった。目玉政策が取り下げられたことに韓国の有権者労働組合は批判を強め、文政権への不支持が増えている。

● 外交面でも手詰まり感 不満解消のための対日軽視

外交面でも文政権の手詰まり感が高まっている。特に、文氏が重視してきた北朝鮮との融和政策は思ったようには進まなかった。2018年6月の米朝首脳会談において北朝鮮金正恩委員長は、直接、トランプ大統領との会談を実現し、非核化と一種の“成果”をぶら下げることで時間稼ぎに成功した。

 

金委員長は非核化に向けた具体的な条件、コミットメントを示すことなく、米国から体制維持の保証を取り付けることができた。同委員長にとって今後の課題は、米国と交渉を行いやすい状況を作ることだ。

米国との貿易戦争が激化する中で、中国も北朝鮮への庇護(ひご)を強めるだろう。北朝鮮は中国と連携し、米国との交渉に臨めばよい。金委員長にとって、韓国との関係強化に動く必要は大きく低下したと考えられる。

文大統領は経済政策の失敗や北朝鮮政策の行き詰まりへの批判をかわすために、わが国に対してさまざまな要求を突きつけ始めた。その姿勢を見ていると、対日批判を飛び越して、日本軽視の考えがかなり強くなっている。

「日本には何を言っても構わない」との立場をとることで、文政権は自らの優位性を誇示し、有権者の不満を解消できると考えているのだろう。

その1つが、韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金に対して、元徴用工への賠償を命じたことだ。韓国の裁判所が、韓国内で新日鉄住金保有する資産差し押さえの強制執行に踏み切る可能性も浮上している。1965年の日韓請求権協定など政府間の合意に基づいて冷静に議論を進めようとする姿勢が韓国には感じられない。

韓国の駆逐艦が日本の哨戒機に火器管制レーダーを照射した問題に関して、専門家の間では、日本の哨戒機の飛行に問題があったとは考えられないとの指摘が多い。一方、韓国政府は自国の行動を省みることはせず、日本に謝罪を要求している。

この対応を見ると、「日本には何をしてもよい」という韓国の一方的な発想はかなり強いと言わざるを得ない。韓国の対日軽視姿勢と一方的な批判は今後も強まる可能性がある。その中で、わが国が文政権に事実関係の確認を求め、対話による問題解決を目指すことは難しいだろう。

● 高まる韓国の 政治停滞リスク

今後、文大統領の政権運営は一段と厳しい局面を迎える可能性が高い。特に、韓国経済の減速・失速リスクが高まっていることは軽視できない問題だ。

すでに韓国の景況感は弱含んでいる。その理由は、スマートフォンの販売不振などを受けて半導体の価格が下落しているからだ。半導体市況の悪化は韓国の景気回復を支えてきたサムスン電子をはじめとするエレクトロニクス企業などの業績を悪化させるだろう。

それは、失業率の上昇など韓国経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の悪化につながる問題だ。目先、文大統領の経済運営への不満や批判は一段と高まりやすい。文氏が支持率を回復させることはかなり難しいと思われる。

先述したように、批判をかわすために文大統領は日本軽視の姿勢を強め、従来に増してさまざまな批判や要求を行うことが想定される。日本としては、韓国からの要求に対して感情的になることは避けなければならない。本来なら、一方的な要求ばかりを行う韓国を日本が相手にする必要もないはずだ。

ただ、極東情勢の安定を考えるとそうもいってはいられない。韓国からの理不尽な要請に対しては、過去の政府間合意などを基に、日本の認識を冷静に伝えればよい。同時に、国際社会が日本の主張の正当性を理解し、賛同することができるように取り組むことが求められる。

何が問題であり、日本がどのようにその問題の解決を目指しているかを分かりやすく各国に訴え、国際世論の賛同を得ることが欠かせないだろう。

それは、わが国の主張に賛同する“親日国”を増やすことに他ならない。特に、アジア新興国との関係強化は、最優先に進められるべきだ。日本が世界経済のダイナミズムとして期待を集めるアジア新興国との関係を強化できれば、国際政治における日本の発言力は高まるだろう。

そのために、経済支援や多国間の経済連携を強化し、国同士の信頼関係を深めていくべきだ。それが、わが国が自力で国力の引き上げを目指すということだ。