昨年29%急増して9万8000人

不安障害も20%増えて6万9000人

 

ソウル市鍾路区で自炊生活をしているキムさん(29)は最近、スマートフォンのメッセージ・アプリとソーシャル・メディアのアカウントを削除した。彼女はソウル市内の4年制大学を卒業後、会計士試験に挑戦したが不合格だった。その後、9級公務員試験に2回挑んだが、これも落ちた。キムさんは周囲の人々に「死にたい」「人生終わった」「時間を戻したい」とよく漏らすようになり、連絡を絶った。娘のことが心配になった母親に連れられて病院に行ったところ、キムさんはうつ病と診断された。

 

心を病む20代の若者が増えている。深刻な青年失業という状況に、社会的な関係を結ぶことがうまくできない20代の特性が重なり、「青年うつ」を招いているようだ。

 

健康保険審査評価院は10日、「20代のうつ病患者は2014年の4万9848人から昨年は9万8434人へとこの5年間で2倍近く増えた」と国会の金承禧(キム・スンヒ)議員=自由韓国党=に報告した。2010年から14年までにうつ病で病院を訪れた患者数は毎年5万人前後と一定だったが、14年を境に急増しているのだ。

 

うつ病だけではない。20代の不安障害の患者も14年の3万7100人から昨年は6万8751人へと2倍近く増えた。どちらの病気も最近になって急に増えている。特に昨年は20代のうつ病患者が前年比29%、不安障害患者が20%増加した。

 

不眠症は中年以降になる」という従来の認識とは異なり、よく眠れないという理由で病院に通う20代は14年の2万7219人から昨年は3万2596人に増えた。

 

警察がイ・チェイク議員=同=に報告した資料によると、自殺を試みる20代も最近増えているという。ほかの年齢層ではすべて、多い場合は数百人も自殺者が減っているのに対し、20代だけは16年の1137人から17年は1142人と小幅ながら増えている。


■「ひ弱だ」というレッテル

 

専門家らは「20代でうつ病患者などが増加している原因は大きく分けて3つある」と言う。その3つとは「深刻な青年失業」「社会的孤立」「『ひ弱な世代』というレッテルを貼ること」だ。

 

青年失業率は10年の7.7%から17年に9.9%まで上昇したが、昨年は9.5%とやや下がった。しかし、ここでいう失業率は「収入となる仕事がなく、過去4週間で積極的に求職活動をした人」のみを失業者として計算したものだ。

 

今はアルバイトなどで短時間労働をしているが将来は正規雇用の仕事に就きたいと考えている人や、就職したいがさまざまな事情で求職活動ができない人まで合わせて計算する失業率を「拡張失業率」と言うが、この指標は体感失業率に近い。韓国の青年層(15?29歳)の拡張失業率は15年の21.9%から昨年は22.8%まで上昇した。

 

国民健康保険一山病院のイ・ジョンソク教授は「受験・就職での競争が激しさを増すにつれて20代のうつ病患者が増えているようだ」と話す。競争のストレスをさらに悪化させるのが社会的孤立だ。韓国青年政策研究院のコ・ガンソプ責任研究員は「20代は上の世代に比べて社会的関係を結ぶのが下手なため、『私はどうせ駄目だ』などの否定的な感情の増幅が続いてしまう」と語った。

 

世帯全体に広まった「集団的無力感」も無視できない。成均館大学社会学科のク・ジョンウ教授は「韓国社会は(両親に経済的・精神的に依存する)『カンガルー族』などの枠組みを作り、20代を『親を頼って生きる覇気のない世代』と見なしているが、このため20代の若者たちも自身のことを否定的に考えるようになる。政治的・社会的な問題で20代の声があまり反映されない社会構造も、彼らの無力感を深めている」と分析した。